風景や音楽や空間…主観的な話を今年はたくさんしたい

「なぜ私は書いているのか」。これは昨年の重要な問いでした。

メンタルの調子を崩し、書くことをやめた日々、それでも何かを書きたいという欲求とアウトプットをすり合わせる日々。続けていけば慣れると思いましたが、なかなか慣れませんでした。気がつけばライターをなんとなくやっていて3年が過ぎていました。正直に言えば今まで一番長続きした仕事になっていました。

そもそも、書きたいという気持ちが芽生えたのは中学生の時でした。偶然にも私に書くためには調べることが大切だと教えてくれた「師匠」のような方がおり、彼の教えもあって、私は断続的に書き続けてきました。しかし、今まであまり納得できたことはありません。すると、何のために書いているのかと考えるのは必然です。

昨年末から考える時間を設けることがあったので、積極的に自分のことを考えることにしました。今まで書くという行為にとらわれすぎていたので、あくまで執筆をツールとして位置づけた上で、伝えてどうしたいのかを掘り下げていきました。

結果、「自分のことを知ってほしい」、「私の考えや価値観を理解してほしい」という幼稚にもとれる答えが出てきました。

ただ、この答えに自分は大変思い当たりがありました。幼少期のトラウマです。

空気のように扱われて無視されたり、友達がうまく作れなかったりした日々。アイデンティティーがないことに悩んだ日々(実は今でもそうです)。考えや価値観が親に伝わらず、いつしか口をつぐんだこと。そしてどんどんコミュニケーションの方法がわからなくなっていったこと。

つまり、私は過去の自分をなぐさめ、自分を認めるために書いているとも言えます。すると、実はいま書いていることは決して書きたいことの全てではないことがわかります。

私が主に書いているものを見ていくと、いまあることやいま起きている出来事を理解する手助けになるものがほとんどです。そのためにほとんどの記事で事実を重視し、印象や感情を排除しています。そのため、人によっては私のことを論理的で事実重視であると思う方も多いでしょう。

しかし、友人の中には私のことを感情的で感覚的であるという理解をしている人もいます。彼らの理解は非常に正しく、私は物事を感覚的にとらえる中で抱いた疑問から調べものをはじめていきます。結果、アウトプットされるものは非常に事実重視ではありますが、それは文章を作る中で抽出しているのです。

抽出したものが私にとって書きたいことの全てかといえば、違います。本当は美しい風景、楽しい音楽、落ち着く空間といった主観的なことを書きたいのです。でも、私は大変に臆病で怖がりです。だからこそ、事実を重視して文章を組み立てています。

文章をこの世に公開すると、実にさまざまな反応をいただきます。基本的にはうれしいものです。しかし、そのうれしさを全て吹き飛ばすのが印象や感情に基づく否定的なコメントです。なぜならば、記事の起点が感覚的に始まっているからで、感覚から否定されているような気持ちになるからです。ずっとこの感情の理由が謎だったのですが、年末にいろいろと考えていくうちに理由に気づくことができました。

過去の自分をなぐさめ、自分を認めるために書いているからこそ、否定されると不安と恐怖で頭がいっぱいになるのです。思えば、初めてものを書いた時に親からもらった「おまえの文章なんて下手くそで読めたものではない。私が直してやろう」という言葉からずっと一貫しています。

自分の思いに気づき、認めたいま、主観的な話もどんどん書いていこうと思っています。もちろん今までライターとして評価していただいている部分は事実重視の文章ですので、今まで書いている媒体に対してはやることは変えません。それと並行した取り組みとして、もっと自分を知ってもらうために、価値観を理解してくれる人を探すために、自分が思う事を書いていこうかなと思っています。

一方で、主観をうまく出した文章を書いていこうとすると、どうしても不安が先に来ます。そこでまずは心理的な安全性を担保した上で書きたいことを書くために「安定に努める」ことを重視することにしたのです。

安定というものには大きく分けて外面的なものと内面的なものがあります。外面的なものでいえば定職に就いている、家族がいる、お金に困っていないなどがあります。他者から見える表面的なことなので、コントロールできるところとできないところがはっきりしています。そこでまずはコントロールできるところとして知識を生かして会社に所属し、生きていくために必要な仕事の軸足をそちらに置きました。

次は内面的安定です。自分の感情を理解しながら外面的なものとすりあわせながらやりたいことを遂行していく。これは私にとってとても難しいことです。でも、今年は外面的安定を軸にして内面的安定も両立することに努めたいと思います。そのために主観的な話もどんどん発信していこうと思っています。

ただ、発信の内容やツールは模索中です。今後どういった発信を行っていくのか。ぜひ楽しみにしていてください。